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アトピー性皮膚炎の治療3
 
薬物療法
アトピー性皮膚炎治療の3本柱は
・原因・増悪因子の検索と対策
・スキンケア
・薬物療法
ですが、薬物療法は医療機関による治療です。決して市販薬のみで対応してはいけません。
薬物療法の中心はステロイド外用薬です。殆どの方がこの外用剤を使用した経験を持つでしょう。ステロイド外用薬の他にタクロリムス外用薬、非ステロイド外用薬、抗アレルギー剤や抗ヒスタミン剤などの内服薬が加わります。 この薬物治療を詳しく述べたら膨大な量となってしまいますので、基本的な内容にとどめます。
 
ステロイド外用薬
A.ステロイドの作用機序
ステロイド外用薬の歴史は50年近くで、優れた効力により広く臨床で用いられています。皮膚炎に対する作用機序は
  1. 抗炎症作用
  2. 抗アレルギー作用
  3. 免疫抑制作用
の3つです。 抗炎症作用は、炎症を起こすリンパ球などの細胞膜に働き炎症を起こす物質を作らせない(細胞膜で一部の炎症惹起物質が作られています)、抗アレルギー作用は、サイトカインやケモカインを抑制するため、抗免疫作用はリンパ球を細胞死させるためと言われています。臨床的には何といっても痒みを強力に抑える効果ゆえ、用いられています。ステロイド外用薬は非常によく効く反面、その副作用(リバウンド)も大きな問題となっていますが、使い方を誤らなければやはりこれに勝る治療薬はありません。ではその使い方とはどのような内容でしょうか?
 
B.ステロイド外用薬の使用法
ステロイド外用薬はその強さで5種類に分類されています。この5種類を年齢、部位、症状の程度に応じて使い分けます。この使用法は医師が的確に判断することですが同時に患者さんはその指示を守ることも当然ながら大切です。医師側に対するガイドラインとして、次の基準があります。患者さんも理解できる内容ですし覚えておいた方が良いと思います。
 
薬物療法の基本(厚労省科学研究「アトピー性皮膚炎治療ガイドライン2005」より
@ステロイド外用薬の強度、剤型は重症度に加え、個々の皮疹の部位と性状および年齢に応じて選択する。
Aステロイド外用薬に際して、次の点に留意する。
・顔面にはステロイド外用薬はなるべく使用しない。用いる場合、可能な限り弱いものを短期間にとどめる。ステロイド外用薬による毛細血管拡張や皮膚萎縮などの副作用は使用期間が長くなるにつれておこりやすい。
・強度と使用量をモニターする習慣をつける。長期使用後に突然中止すると皮疹が急に増悪することがあるので、中止あるいは変更は医師の指示に従うよう指導する。
・急性増悪した場合は、ステロイド外用薬を必要かつ十分に短期間使用する。
B症状の程度に応じて、適宜ステロイドを含まない外用薬を使用する。
C必要に応じて抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬を使用する。
D1〜2週をめどに重症度の評価を行い、治療薬の変更を検討する。
 
 
アトピー重症度
 
ステロイド外用薬は原則2回/日(朝、入浴後)使用します。一般に軟膏は昔から擦り込むように言われてきましたが、ステロイド外用薬を擦り込んでしまっては、返って症状を悪化させてしまう可能性があります。そっと薄く伸ばすように塗るだけで十分です。 意外と誤りがちなのは、使用量です。ステロイド外用薬が怖いと思い、殆ど塗らない人もいれば、たくさん塗ればそれだけ効くと思う方もいます。決して多いほど効くわけではありません。1本5g入りのチューブで手20枚分に相当します。手のひら一枚分は、1cmくらいで適量です。これより多くても効き目は上がりませんし、少ない場合は効果が出にくくなります。適切な強さのステロイド外用薬を用量を守って使えば、連続使用しても不可逆性、あるいは全身性の副作用はきたさないと言う論文があります(2003、M,Furue )。
「アトピー性皮膚炎治療ガイドライン2005」の重症度では、皮疹の状態について強い炎症軽度の皮疹に分けていますが、これはこのガイドラインがアトピー性皮膚炎専門医以外も対象に含めているからです。日本皮膚科学会からはより細分した分類と治療の指針が出ています。
 
アトピーの外用薬
C.ステロイド外用薬の副作用
成人性アトピー性皮膚炎と診断された方のうち、実はアトピー性皮膚炎ではなくステロイド外用薬の長期使用によって生じたステロイド皮膚症が4人に1人とも10人に1人とも言われています。これは安易なステロイド外用薬を長期にわたって使用した結果です。安易というのは患者さんではなくそれを処方した医師側の問題とも言えるでしょう。また日本ではストロングに相当するステロイド外用薬が薬局で売られていることも一因です。ちょっとした皮疹なら市販薬で治そうと思い、薬局店で薬を求めれば、弱くないステロイド外用薬を薦められ使用してしますこともあると思います。ステロイド外用薬を止めたらアトピー性皮膚炎が治ったという方の中には、実はステロイド皮膚症だった方もいるかもしれません。そのような依存症は誤ったステロイド外用薬の使用で起きますが、正しい使用をしていても次のような様々な副作用が時におき得ます。

@ 皮膚萎縮
A 魚鱗癬
B 創傷治癒遷延
C 毛細血管拡張、紅斑
D ステロイドざ瘡
E 多毛症
F 色素脱失
G 皮膚線状
H 二次感染(とびひ、真菌症、ウィルス性イボなど)
I 接触皮膚炎(ステロイド外用薬自体が刺激してしまう)
J 免疫抑制
皮膚萎縮や毛細血管拡張は知られていますが、意外と誤解されているのが色素脱失です。アトピー性皮膚炎では、慢性炎症により色素沈着をきたすことはしばしば認めますが、これをステロイド外用薬の副作用と思っている方がいらっしゃいます。ステロイド外用薬の使用では色素沈着ではなく、色素脱失が起こります。また白内障も以前はステロイド外用薬の副作用と思われていましたが、これはまぶたを掻く時、眼球を圧迫することが原因と分かりました。
 
D.リバウンド現象
1999年の東京都の「アレルギー疾患ガイドブック」が、ステロイド軟膏の減量中止に伴う急性増悪を「リバウンド現象」とし、そのような現象を起こしてくる患者群を「ステロイド依存例」と定義しています。ステロイド依存症とは、ステロイドの外用剤なしには炎症をコントロールできなくなっている人を指します。その機序は様々な学説がありますが、新潟大学医学部医動物学教授 安保 徹先生の論文(治療、Vol.82,No.6、2000・6)のよれば、次の通りです。
「外用薬として生理的濃度を超えて体内に入ったステロイドホルモンは、組織に停滞し酸化コレステロールに変成していく。酸化物質は組織を交感神経緊張状態にし、血流のうっ滞 と顆粒球増多をまねく。顆粒球は組織に浸潤しすき間のない炎症を引き起こすに至る。これがアトピー性皮膚炎から酸化コレステロール皮膚炎への移行である。この移行はステロイド外用剤を使用し始めてから数ヶ月から数年で引き起こされる。このような酸化コレステロール皮膚炎を静めるために、もしステロイド外用剤を使用するとすれば、前よりも多量の外用薬を使用しなければならなくなる。これが患者や医者がいつも経験しているステロイド使用時のステロイド剤増量のメカニズムである。『ステロイド依存症』 のメカニズムである。」
 
タクロリムス外用薬
 
顔や首は、角層が薄いので他の部位より多く外用薬が吸収されます。しかも成人アトピー性皮膚炎では顔・首が好発部位ですので、この部位への治療は注意が必要です。また前述しましたように、不適切なステロイド外用薬の使用が症状を悪化させること、ステロイド依存症の存在などの理由により外用薬の登場が望まれていました。これに対し2000年からタクロリムス外用薬が臨床で使われ始め、一定の成績を収めています。 タクロリムスは免疫抑制剤で、アトピー性皮膚炎では
  • Tリンパ球の働きの抑制
  • 皮膚の抗原提示細胞であるランゲルハンス細胞の抗原提示の抑制
  • IgE依存性におきる肥満細胞・好塩基球からのヒスタミン放出の抑制
  • 好酸球の脱顆粒の抑制などの作用
などが明らかになっています。 成人用0.1%タクロリムスはストロングステロイド外用薬、子供用0.03%はマイルドくらいの力価があります。分子量が大きいので正常皮膚には吸収されず、急性期の皮膚炎には良い適応で、ステロイド外用薬のような皮膚萎縮、毛細血管拡張、依存症・リバウンドも少ない利点があります。ヒリヒリ感が強いのでびらんなどの部位や、免疫抑制力があるため感染症を伴う部位には用いられませんが、副作用の出やすい顔・首や、ステロイド外用剤の効果が乏しい病変部が良い適応となっています。
 
タクロリムス外用薬の使用上の注意
適応
ステロイド外用薬などの既治療で効果が不十分な場合
ステロイド外用薬の副作用でこれらが使用できない場合
年齢(体重)区分
1回の使用量の上限
1日の使用量の上限
2-5歳(20kg未満) 1 g 2 g
6-12歳(20-50kg) 2 -4 g 4 -8 g
13歳以上(50kg以上) 5 g 10 g
小児用(2〜15歳)0.03%
成人用(16歳以上)0.1% 2回/日まで
 
非ステロイド性抗炎外用薬
 
スキンケアや軽度のアトピー性皮膚炎では、非ステロイド性抗炎症外用薬が用いられることがあります。この外用薬の持つ抗炎症作用を期待して使用されていますが、ステロイド外用剤でないと言う理由から患者も主治医も使いやすいと言う理由もあるようです。我が国では、ブフェキサマクが好んで用いられる傾向にあります。しかし、この非ステロイド性抗炎症外用薬の有効性ははっきりしておらず、接触皮膚炎を起こすこともあり欧米では原則使われておりません。使用してみて明らかな効果がと認められないのなら、中止を検討することも一考です。
 
内服薬
 
アトピー性皮膚炎治療の中心は、ステロイド外用薬ですが補助療法として、抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤の内服があります。抗アレルギー剤は我が国独特の呼び名で国際的には、抗ヒスタミン剤の新型(第二世代)と位置づけられています。これらの補助療法は、ヒスタミン遊離によって掻痒がでることを抑えることを目的としています。しかしいわゆる抗アレルギー剤は、ヒスタミン遊離抑制以外にも好酸球の集まりを抑えたり炎症物質を抑える働きも有しており、この作用もアトピー性皮膚炎の治療に関与していると研究されています。