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   医学で解明!顔若返り

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2008年4月2日放送

今回の番組について

今回のテーマは「顔」です。顔を見ればひと目で、性別、年齢、およその感情などがわかってしまうものです。

ところが、顔に出ているのはそれだけではなかったのです。形成外科医は、なんと顔のシワ・たるみを見ることで、その人が頭痛や肩こりなどの症状を持っているかどうかがわかってしまうのです。美容の大敵と思われていたシワ・たるみですが、最新の研究では、健康に直結するサインだという衝撃的な事実が明らかになりました。

さらに、顔のたるみを単なる老化だと思って放っておくと、頭痛、肩こり、不眠、うつまでも引き起こす可能性があることがわかってきたのです。

医学的に解明された顔のシワ・たるみの超意外な真実を大公開!

「たるみが病気に至る道」

54歳になるAさんは、肩こり、背中のこり、頭痛、めまい、疲れやすい、不眠、などの深刻な症状に悩んでいました。はじめのうちは更年期のせいだとあきらめていましたが、症状の悪化に伴い診察を受けたところ、原因はなんと“顔のたるみ”にあると診断されたのです。

医師から説明を受けた後も半信半疑でしたが、悩んだ末に思い切って手術を受けてみました。すると手術を受けた日の夕方には、鉄板のようになっていた背中がウソのように軽くなっていることに気がつきました。さらに、不眠、疲れやすいなどの症状も次々と改善し、それまであきらめていたスポーツや楽器演奏などの趣味が再開できるようになったのです。

頭痛、肩や首のこり、目の奥の痛み、歯の上の痛みなどの症状に悩んでいた男性のBさんも、原因は“顔のたるみ”にあると診断されました。手術後にBさんを訪ねてみると、本人もビックリするほどに「体の色々な場所の重みが和らぎスッキリした」というのです。

原因は「まぶたのたるみ」

Aさん、Bさんの症状の原因は「まぶたのたるみ」でした。これによって起こる主な症状には、首や肩の凝り、腰痛、頭痛、めまい、便秘、不眠、慢性疲労、冷え性、不安、うつ、などがあります。

「まぶたのたるみ」を改善する手術を受けた人は、症状の改善が見られた上に、見た目にも、目の上のくぼみ、目の下のたるみ、額のシワなどが解消され、眉毛の位置が下がる、などの変化が見られました。

まぶたがたるんでいるのかどうかを調べるには、眉毛の位置に注目します。

  1. 目をギュッと閉じて、目を閉じたまま力を抜きます。
  2. 正面に鏡があることをイメージして、目を開きます。

上の2つの動作を行って、眉毛の位置が明らかに上へ移動した場合は、その移動分だけ、まぶたがたるんでいると考えられます。

[1]の状態が、その人の本来のまゆ毛の位置です。ところが、まぶたのたるみが進むと、目を開けた際にその分だけまぶたを持ち上げる必要があるため、まゆ毛の位置が上がるのです。

では、このまぶたのたるみが、どうしてさまざまな症状につながってしまうのでしょうか?

「コリャ〜 たまぶた! 目をみはる珍実験」

まぶたがたるんでいない学生に協力してもらい、まぶたに1グラムのおもりをつけて、擬似的にたるみまぶたを作りました。たった1グラムまぶたが重くなっただけで、学生たちは「疲れる」と言います。一体どうしてなのでしょう?

そこで、筋電図で、まぶたがたるんだ時に筋肉にどんな変化が起こるのか調べてみました。右目のまぶたにだけ1グラムのおもりをつけてたるませてみると、おもりをつけた途端に、額(ひたい)の右側の筋肉で強い緊張が始まりました。さらに驚くことに、首や肩でも、右側の筋肉だけが強く緊張し始めたのです。他の学生で調べても結果は同じでした。どうしてこんなにも大きな影響が出てしまったのでしょうか?

まぶたのたるみを検査

私たちは、日頃無意識のうちにまぶたを持ち上げています。ところが、実はまぶたがたるんだ人では、知らず知らずのうちにまぶたを持ち上げるために多くの労力を使っているのです。

まぶたを持ち上げることがいかに大変であるのかを実感するために、スタジオではテープを使った実験を行いました。これは、医療現場でまぶたのたるみを検査するために実際に行われている方法です。

  1. テープを4〜5センチの長さに切ります。
  2. 目をつぶった状態でテープの片側を眉毛の下のまぶたに止めます。
    (この時、まぶた全体を持ち上げようとすると、テープを貼った後に目が閉じなくなってしまいます。眉毛のすぐ下の皮膚を止めて下さい)
  3. テープを引っ張り上げながら目を開き、テープのもう片方の端を額の皮膚に貼ります。
    (強く引っ張りあげる必要はありません。皮膚を軽く持ち上げる程度で十分です)

テープでまぶたの皮膚を持ち上げることにより、額などの筋肉を使わずに目を開くことができます。

この状態で、首や肩などが軽くなった印象を受ける人は、まぶたのたるみが原因の肩こりがある可能性の高い人です。また、テープをはがしたときに、まぶたや首・肩が重くなった印象を受ける人たちも、まぶたのたるみによる症状が疑われます。

まぶたのたるみが頭痛・肩こり・腰痛を引き起こす理由

どうして、まぶたがたるむと、知らず知らずのうちに多くの労力が必要になるのでしょうか?

まぶたがたるむと、まぶたを持ち上げるための筋肉をより強く緊張させることになります。ところが、実はまぶたを持ち上げる筋肉には、頭部の筋肉と連動する仕組みが備わっています。そのため、まぶたを持ち上げる筋肉が強く緊張すると、反射により額の筋肉、頭の筋肉も連動して緊張するのです。

さらに、頭の筋肉の緊張が強いと、それを助けるために首から肩に掛けての筋肉まで緊張します。この状態が長く続くと、頚椎(けいつい)が湾曲し、首が前方に出て、猫背気味になります。このようにして、まぶたのたるみが、頭痛、肩こり、腰痛にまで影響してしまうのです。

不眠・慢性疲労・不安をもまねく理由

まぶたのたるみを放置しておくと、さらに深刻な症状を招くことがあります。

その鍵を握っているのが、まぶたを持ち上げる筋肉「ミュラー筋」です。ミュラー筋は、目を開いている時に働き、閉じている時には休みます。このミュラー筋の働きと連動しているのが、実は自律神経なのです。

ミュラー筋が働いている時、自律神経は“活動的”なONの状態です。ミュラー筋が休んでいる時、自律神経は“リラックス”のOFFの状態になります。

ところが、まぶたの皮膚がたるんでしまうと、ミュラー筋は目を開けておくためにはより強く働く必要があります。すると自律神経は、“活動的”なONの状態を通り過ぎて、緊急事態の“緊張”状態になってしまうのです。

さらに、眠ろうとして目を閉じても、上まぶたと下まぶたが合わさった時には、ミュラー筋はまだ働いているのです。自律神経は、ONの状態のままですから、これによって不眠の状態が起きるのです。

そして、自律神経がOFFにならない状態が続くと、慢性疲労や不安などの症状が起きてしまうのです。そのため、まぶたのたるみが原因で、生活に支障をきたすような場合は「眼瞼下垂症(がんけんかすいしょう)」という病気と診断され、保険適用の治療(手術)が行われます。

「TELL ME たるみの原因」

老化によって進んでしまうと思われがちな「眼瞼下垂症(がんけんかすいしょう)」ですが、予防法はないのでしょうか?

医師立会いの下、年代別のまぶたのたるみ調査を行いました。すると、たるみとは関係なさそうな10代〜30代の人たちの中にも、まぶたがたるんでいる人が意外に多いことがわかってきました。アンケート調査を行ったところ、意外な原因が浮かびあがってきたのです。

眼瞼下垂症を進める原因

アンケート調査の結果、まぶたのたるみが進んでいる人たちには、次のような傾向が多く見られました。

  • 夜更かしをする
  • 涙もろい
  • 花粉症
  • 女性

実は、これらに共通する“目をこする”という行為が、眼瞼下垂症と深く関わっています。

若い人でも、目をこする機会が多いと、まぶたの皮膚よりも先に、ミュラー筋が薄く長く伸びてしまうのです。その結果、ミュラー筋が一所懸命に働かなくてはならず、反射で額の筋肉も緊張するため、まぶたの皮膚もたるみやすくなってしまうのです。

眼瞼下垂症の予防法

  • 目をこすらない
  • 眉毛を動かす癖をやめる
  • ミュラー筋を休ませる

“ミュラー筋を休ませる”一番の方法は、目線を下げることです。ミュラー筋は、目線を上にしたときに最も強く働き、目線を下げるとゆるむ傾向があります。日常生活の中に、読書・編み物・料理など、目線を下げるような作業を取り入れたり、パソコン画面を正面よりも下にするなどの工夫をすると、ミュラー筋を強く働かせることを防ぐことができます。眼瞼下垂症による不眠の場合にも、目線を下げることが有効です。

眼瞼下垂症による不眠を改善する方法

目を閉じる際に、アゴを引き目線を下斜め45度に下げるようにします。目を閉じた際に、まゆ毛が本来の位置にまで下がっているか確認して下さい。

治療を受ける際の注意点

日常生活に支障をきたす症状を伴う場合、眼瞼下垂症の診察は、形成外科または一部の眼科で行っています。

ただし、手術の目的は、症状に対する治療であることに注意してください。手術では、まぶたの機能を改善させる(ミュラー筋の回復など)治療を行うため、顔の印象にも変化が生じます。一重まぶたが二重になるなど、人によってその変化の度合いも違ってきますので、医師とよく相談し、納得の上で受けるようにして下さい。

眼瞼下垂症に関するQ&A

  • Q:自分の症状がまぶたのたるみによるものか知る方法は?
    番組内では、眉毛の位置を目安にした「まぶたのたるみ」のチェック法などをご紹介しました。
    ただし、症状の現れ方には個人差があるため、「何センチ以上移動したら症状として現れる」などの基準はありません。眼瞼下垂症が疑われる場合は、医療機関で診察を受けることをお勧めします。
  • Q:診察は、どこで受ければいい?
    眼瞼下垂症を扱っている診療科は、形成外科と、一部の眼科です。

「若々しシ〜ワ 顔若返り 大作戦!」

解剖学の専門家に、顔の筋肉についてたずねてみました。口、ほお、目の周囲など、顔にはさまざまな筋肉が複雑に走行しています。それらの筋肉が皮膚に直接ついていることが、顔の筋肉(表情筋)の特徴です。そのため、筋肉の動きが皮膚の動きとなって、人の顔にさまざまな表情を作り出すのです。

顔の筋肉が年齢とともにたるんでしまうと、皮膚もたるみ、シワやたるみの原因となるようなイメージがありますが、実際はどうなのでしょうか?

さまざまな年代の女性8名とプロのカメラマンに協力してもらい、顔の若返り実験をしてみました。ピンクの部屋と青の部屋にわかれて写真撮影をしてみると、青の部屋で撮ったほうが、シワが消え、たるみも改善して若返った顔になっていました。青の部屋では、何が起こっていたのでしょうか?

顔の筋肉にはリラックスが重要

青の部屋で撮影された“顔若返り”のワケは、寝た状態で写真を撮っていたことでした。

顔のシワ・たるみは、重力によって皮膚や皮下脂肪が下に垂れてしまうことが大きな要因です。それを防ぐことが、顔の筋肉のトレーニングだと考えられています。

ところが、それについて専門家に尋ねてみると、意外な答えが返ってきました。「ほとんどのシワ・たるみは、筋肉の緊張によって起こる」というのです。そのため、顔の筋肉をトレーニングして鍛えるよりも、リラックスさせてゆるめるほうが、シワ・たるみには重要だというのです。

シワ・たるみができるメカニズム

老化によるシワ・たるみができる要因には、大きく分けて2つあります。

1つは、コラーゲンの減少などによる肌の弾力の衰え。もう1つは、筋肉の緊張です。

弾力が衰えた皮膚を、筋肉が強く引っ張ることで、シワやたるみがうまれます。そのため、特定の筋肉だけを鍛えたりすると、その部分にシワができやすくなる可能性があります。日頃から適度に表情を豊かにすることで、顔全体の筋肉を偏りなく使うことが大切です。

※顔の筋力やシワ・たるみのできやすい部位などには、大変大きな個人差があるため、顔の筋肉トレーニングのよしあしは一概に言えません。

※ 顔全体の表情筋を適度に動かすためには、表情はある程度豊かなほうがよいといえます。無表情のつもりでも、顔の筋肉は常にどこかが緊張していて、特定の筋肉だけを使うことになってしまいます。

実習コーナーの準備

近頃ブームの顔のマッサージ。ところが専門家からは、顔の筋肉の走行に逆らったり、無理に皮膚を持ち上げるようなやり方はよくないとの指摘を受けました。とくに、無理に皮膚を持ち上げるようなやり方は、かえって皮膚がたるむことにもつながりかねないと言うのです。

そこで実習コーナーでは、なんと顔に一切触れなくても、顔の血行が良くなり、むくみが改善するマッサージ法をご紹介します。

※眼瞼下垂症(がんけんかすいしょう)の原因に「目をこする」ことがあったように、顔は皮膚や筋肉の構造が大変デリケートな場所です。「顔を洗う」などの機会も含めて、力加減には十分気をつける必要があります。

実習コーナー「デリケートな顔を触らずに顔をマッサージしよう!」

ポイントは、鎖骨のくぼみにある『リンパ節』

肩から上(肩・首・顔・頭)のリンパ液は全て鎖骨のくぼみにあるリンパ節に集まります。そこから大きな流れである静脈に合流し、心臓へと流れます。

大きな流れに合流するポイントである鎖骨のくぼみにあるリンパ節の流れを促すことが、顔のむくみを改善するために最も重要となります。

力加減について

皮膚に手のひら全体を密着させ、軽く押さえる程度の力加減で行います。皮膚の下の筋肉は動かさないよう、手の重みだけでマッサージするようなイメージです。

くれぐれも強く押したり、皮膚をこすったり、引っ張ったりしないようにして下さい。

マッサージを行う上での注意点

甲状腺・血圧の異常、顔のリンパ浮腫に該当する方は、以下のマッサージは行わないようにして下さい。

マッサージを始める前に、鎖骨のくぼみを刺激するよう意識しながら、両肩を回してください。

顔周辺のリンパマッサージ

※右手で左半身、左手で右半身をマッサージします。

  1. 鎖骨のくぼみに手のひらを密着させ、ゆっくり3回回す。
  2. 首の側面に手を密着させ、ゆっくり3回回す。
    ※この際、リンパ液を下に流すように意識しながら行うとよい。
  3. 右手の人差し指と中指の間に耳を挟み、ゆっくり3回回す。
    耳の前と後ろにあるリンパ節を刺激するようなイメージです。
  4. 耳から鎖骨のくぼみまで、なでるようにして手を下ろしてくる。

肩周辺のリンパマッサージ

  1. 右手を左肩へ持っていき、肩にそって鎖骨のくぼみまで持ってきます。
  2. 左手を右肩へ持っていき、肩にそって鎖骨のくぼみまで持ってきます。

これを3回ずつ行います。

後頭部周辺のリンパマッサージ

  1. 両手を肩甲骨の上に持っていき、肩の上を通って、鎖骨のくぼみまで持ってきます。
  2. 両手を後頭部の髪の毛の生え際に持っていき、首の側面を通り、鎖骨のくぼみまで持ってきます。

これを3回ずつ行います。

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